谷保の里山散策ミニツアーご報告

お寒うございます。
暦の上では今日から春だというのに、東京では冷たい雪降り。
日が延びて光が少しずつ春めいてきて、
ふくらみはじめた木の冬芽に春の気配を感じ始めるこの頃から
意外としつこくねばる冬の空気。
油断せず毛穴を引き締めてまいりましょう。

間があいてしまったのですが、12月のやぼろじガーデンパーティで企画した
「谷保の里山散策ミニツアー」のご報告です。

当日は朝からよいお天気で、絶好のお散歩日和。
事前予約と当日参加のお客様は大人12名、子ども6名、
ガイドが2名ふくめて合計20名のにぎやかなツアーとなりました。

お昼にやぼろじを出発してまずは谷保天満宮へ。
木の見分け方の資料をお配りして、葉を落とした落葉樹を
樹形や幹肌での見分け方を説明しました。
天満宮の境内はムクノキ、カヤノキの勢力が強いようです。
ちなみに天満宮は梅の名所、12月は木がぐっすり眠っているので
立ち寄りませんでしたが、今ちょうど梅が見ごろになっているようです。






















天満宮の本殿の前を通って、崖下から湧き出る水の流れる水路沿いの道へ。

















1年中さらさらと町なかを小川が流れるこの風景。
初めて見たときは、これが東京!?と驚きました。
柵もなく、ごく自然に水と一緒に暮らしていてよい感じです。
子どもたちは大喜びで遊んでいます。













「ハケ」と呼ばれる崖線(がいせん)には、崖の高い側の地面に降った雨が
地下水となって湧き出る場所がそこここにあり、
さらに低いほうへと流れる途中で農業用水として田んぼにも利用されています。

この、谷保の谷保らしいのどかな田園風景をのんびり歩いていきます。
冬は田んぼは休耕中なので水が流れていない場所もあるのですが、
5月の田植えの時期になると、水路を通って田んぼに水が引きこまれて
それはそれは美しい景色になります。
大根畑やナシ園、ミツバチを呼び寄せるためにミツバチが好きな花ばかりを
育てている蜜原(みつげん)ガーテンなど紹介しながらさらに歩きます。

















そして今回の目的地である城山(じょうやま)公園へ。
ここは中世(というと鎌倉時代ころ?)の城館跡とされていて、
崖地に残る雑木林が保存されています。
ここの雑木林はコナラやクヌギ、カシなどのドングリの木が多いので、
みんなでドングリ拾っては何のドングリか当てっこ大会です。
それぞれ似てはいますが少しずつ違いがあって、見慣れてくると見分けられます。

















冬の雑木林はさびしいイメージがありますが、
ふかふか落ち葉の道歩きは子どもも大人も楽しいものです。



















城山の主と呼びたくなるようなシラカシの巨木。
筋肉隆々の力士がしがみついているようなコブが迫力満点。

そしてゴールの古民家へ到着です!
近くの農家に残っていた民家を国立市が移築して保存管理していて、
中には囲炉裏があり、ボランティアさんが時々火をおこして家を守っています。
お散歩ツアーのみなさん、縁側にずらりと並んで座って、古民家の方が
準備して下さったお湯で作ったゆず茶を飲んであたたまりました。

縁側の前にずらりと植わっているのはシラカシの高生垣(たかいけがき)。
関東の農家ではこの生垣がよく作られていたそうで、
ここでは日除けになっていますが、もとは防風と防火目的だったとか。
カシの木は水をたくさん含んでいるので、火事の延焼を防ぐのだそう。
昔の人は植物を知り尽くして、さまざまに利用していたものだと感心します。
私たちも工業製品に頼りすぎず、少しでも昔の知恵を復活させたいものです。















ここで一応解散して、谷保駅まで歩いて戻って約2時間半。
帰り道、寒い中少し道に迷ってしまったのですが、
参加者の皆さん、最後までご機嫌に楽しく歩いてくださって
ほんとうにありがたかったです!

違う季節にも開催してほしいという声も戴いたので、
また緑あふれる季節にお散歩ツアーを企画して、
自然豊かな谷保の風景をご紹介したいと思っています。
参加してくださった皆さま、ありがとうございました!